いや、それは全然覚えてねー。
けれど覚えていなくとも、自分の脳内が大パニックを起こした事は想像出来る。

俺がよく知りもしない女を前に泥酔するまで酒を飲んでしまうなんて、絶対美麻が絡んでるに違いないんだ。

つーか、あの日のパーティーでそんな事があったなんて、美麻から何も聞いていない…!

真っ青になっている俺を尻目に、真澄が顔を覗きこむように近づく。
思わず身を後ろへ仰け反らす。 どうしてこの女は距離感がこんなに近いのか。

「…もしかして朝比奈さんって小田切さんと付き合ってるんですか?」

「つ、付き合ってる訳ないよッ。何で俺があんな奴と」

「えー…でもLILI BULEでも評判なんですよ。
小田切さんと外商の朝比奈さんはいっつも一緒にいるって。 ほら、東日百貨店にも私の知り合い結構いるじゃないですか。
朝比奈さんって大人気だから」

「ありえないよ。 俺美麻みたいなブスって全然タイプじゃないから」