朝比奈の腕を引っ張り小走りでこちらへ駆け寄ってくる。
アップで見た彼女の肌はきめ細かく綺麗で、眩しい。 思わず立ち眩みがしそうな程には。

若さは無敵だ。 その上若いだけじゃなく、確かな美しさがある。 真っ白な卵肌は赤ちゃんのように綺麗だ。 ファンデーションやコンシーラーで隠さなきゃいけない粗は少しも見つけられない。

小さな丸顔。 そこにきゅっとパーツが詰められていて、そのパーツどれをとっても可愛らしい子。 朝比奈が選び続けていた女性の典型。誰がどう見ても可愛いとしか言われないそんな女の子。

「あぁ?美麻?」

横に居た朝比奈はかなりお酒が入っているらしく、顔は真っ赤だし足元はフラフラだ。 こんな状況でも女を連れ込めるのはある意味才能だとも思う。

ざわざわと変な胸騒ぎがする。 どこからどう見てもお似合いな二人を見て、その場で立っているのも恥ずかしくなってくる。

「小田切さんにはずっと会ってお礼を言いたかったんです」

「お礼?」

「はい。パーティーの時は助けてくれてありがとうございます。」

その場でぺこりと頭を下げる真澄ちゃんは、仕草まで女の子らしい。
へへっと小さく笑い顔をくしゃくしゃにさせる。

「気にしなくていいのに…」

「本当に困っていたんです。八田さんにはお食事にしつこく誘われて1回行っただけなんですけど、勘違いされちゃって…
でもあれから連絡もなくなって助かっています。 小田切さんと副社長のお陰です」