ハロウィンの奇蹟

 宗一郎の姿は私以外には見えない。

 だけど私が黙って一人で歩いている振りをしておけばハロウィンに賑わう街を歩き回っても大丈夫だろう。


 「じゃあ宗一郎、ちょっと見て回ろうか?」

 「いいの?迷惑じゃない?」

 「大丈夫…」

 「あれ?夏樹?」


 私が宗一郎と話していると後ろから私の名を呼ぶ声が聞こえる。

 慌てて振り返るとそこにはクラスメイトの香苗がいた。