ハロウィンの奇蹟

 待ち合わせするにしてもとても寂しい場所だなぁと思う。

 来た道を戻ればお店もたくさんあるからそこでお茶でもするのかな?


 そんなことを考えながら辺りを見回す。
 見た感じ、待ち合わせに来ている人は居ないみたい…。


「お店…閉まってますね」

「いいんじゃ。目印なだけで用があるのはここじゃからのう」


 お爺さんはほんの少し困ったような顔をしながらのほほんと答える。

 そして店のドアから少し離れた所に立つ電柱の袂にゆっくりしゃがみ持っていたあの真っ赤な花束をそっと置いた。


「昔にな、そうじゃなぁお譲ちゃんのご両親が生まれるより前になるかのう。ここで待ち合わせしててな」


 お爺さんは私の方を見ず背を向けたままポツリと言葉をこぼした。

 私は隣に行くべきか少し迷ったけどここで聞くことにする。