ハロウィンの奇蹟

 3丁目まではこのまま真っ直ぐ進んでだいたい300メートルくらいってところ。

 この辺りは道幅も多く背の高い建物は少ない。

 急に開けた空を見上げればそろそろ日暮れを感じさせる色合いに変わり始めていた。

 
 やっぱり秋の夕暮れは早いなぁと思いながら幸子さんの事を思い出す。

 お爺さんを送ってから探すのを再開するのはちょっと遅い気がしてきた。


 だけどここで「じゃあと真っ直ぐ行くだけなんでさようならー」って訳にもいかないし…。


 どうしようかという迷いが顔に出てしまったのか隣にいる幸子さんがちょこっとだけ困った笑顔を浮かべて「案内してあげて」と促してくれた。


 気が長い、と思ったけどそれは仕方ないことなのかもしれない。

 だってお爺さんには――、生きている人には時間が限られてるけど幸子さんにはそんな制約は無いから。