因みに私の隣を歩く幸子さんは幽霊の特権(?)をフルに生かして歩いている。
実体が無いからぶつかることもなく人でも物でもすり抜けるし。
見てるとちょっと羨ましいなぁなんて思う。
幸子さんの存在に気付かないお爺さんは連れ立つ相手がいるのが楽しいらしくニコニコと話を続けてくれた。
「若い頃にねぇ、この辺りに住んでたんですよ。その頃とは町並も変わってしもうて何処が何処やら。」
へぇ、と相槌を打つとお爺さんは懐かしそうに目を細める。
その表情の穏やかさから良い思い出なんだろうなぁと思った。
「じゃあ3丁目にはその頃のお知り合いの方と待ち合わせなんですか?」
「そう、じゃなぁ。待ち合わせと言えば待ち合わせかのう。じゃがこれを用意してる内に約束の時間に遅れてしまってな」
そういうとお爺さんはちょっと寂しそうな表情を浮かべて腕に抱えた彼岸花を見せてくれた。
お爺さんのスーツの落ち着いた黄色がまるで実って頭を垂れた稲穂のようで赤い彼岸花が畦道に咲いているみたいだ。
実体が無いからぶつかることもなく人でも物でもすり抜けるし。
見てるとちょっと羨ましいなぁなんて思う。
幸子さんの存在に気付かないお爺さんは連れ立つ相手がいるのが楽しいらしくニコニコと話を続けてくれた。
「若い頃にねぇ、この辺りに住んでたんですよ。その頃とは町並も変わってしもうて何処が何処やら。」
へぇ、と相槌を打つとお爺さんは懐かしそうに目を細める。
その表情の穏やかさから良い思い出なんだろうなぁと思った。
「じゃあ3丁目にはその頃のお知り合いの方と待ち合わせなんですか?」
「そう、じゃなぁ。待ち合わせと言えば待ち合わせかのう。じゃがこれを用意してる内に約束の時間に遅れてしまってな」
そういうとお爺さんはちょっと寂しそうな表情を浮かべて腕に抱えた彼岸花を見せてくれた。
お爺さんのスーツの落ち着いた黄色がまるで実って頭を垂れた稲穂のようで赤い彼岸花が畦道に咲いているみたいだ。


