ハロウィンの奇蹟

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「それにしてもこのあたりは随分変わってしもうたんですなぁ」

「前にこの辺りにいらっしゃったんですか?」


 お爺さんに私、そして幸子さんと横に並んで歩く。
 

 流石にお爺さんには言えないけど私の隣に幽霊がいて一緒に歩いてるって知ったらびっくりするだろうなぁ。


 事実を知らず穏やかな笑顔で話を続けるお爺さんとは対照的に私ももう片側にいる幸子さんは落ち着かない様子だった。

 チラチラとお爺さんの方を見てはソワソワしてる。

 お爺さんからは見えないし、寧ろこの場で幸子さんが見えるのは私だけなんだから堂々としてればいいのに。
 

 そんな事を考えながらお爺さんの歩く速度に合わせて隣を歩く。
 行き交う人は多いが歩くには問題ない。

 ただお爺さんが人とぶつからないように注意しながら人波の間を縫って歩くことに専念する。