ハロウィンの奇蹟

 最初と比べればキーワードが出た分、進展してるけどやっぱりゴールまでは遠い。

 どうしたもんだか…と考えているとふいに後ろからポンポンと肩を叩かれた。


「…ふぇっ!!」


 考え事の最中だったから私は思わず声を上げながら振り返る。

 その突飛な声に幸子さんも驚いたようで私に一歩遅れた形で振り向いた。


 振り向いた先には――、小柄なお爺さんが立っていた。


 殆ど白色の髪を綺麗に撫でつけた頭。
 空五倍子色(うつぶしいろ)の仕立ての良いスーツに身を包み人好きする笑顔を浮かべていて「感じの良さそうな人だなぁ」というのが第一印象。


 だけどその印象の後、片手に抱えた燃えるような赤い花束――、沢山の彼岸花に目が行く。

 スーツの渋い黄色と相まってとても印象的に見えた。