ハロウィンの奇蹟

「なにか、とても華やかで繊細なものだった気が…」


 考えながら歩いてるからいつもよりも遅い足取りに合わせてくれてた幸子さんがポツリと呟く。


「キーワードが出たのはいいけど曖昧だなぁ」

「ごめんなさい…本当にぼんやりと…そのぐらいしか思い出せなくて」

「ああ、いいのいいの。何もないよりはマシだから」


 私はさっきみたいに幸子さんがしょげないように素早くフォローに入る。

 土曜の昼下がり、というには少々遅く今は夕暮れの入り口。
 アーケードは人出も多くにぎやかで私達のやりとりはあっさりと休日の人波に飲まれて消えていった。


 今はまだ明るいからいいけど日が暮れて人気が無くなったらこんな事もしてられない。

 流石に夜遅くに探してたら補導されそうだし、かといって家に帰るにしても幸子さんを連れて帰る訳にもいかないし…。