ハロウィンの奇蹟

 亡くなって時間の経った霊って割と記憶なんかが曖昧だったりするんだけど彼女の場合はちょっとその度合いが酷いかもしれない。

 50年くらい前に亡くなってこのぐらいにしか記憶が残ってないのって結構珍しいし。

 以前仲良くなった明治時代の商家の三男坊(勿論幽霊・享年15才)の方がピンシャンしてるもん。


 まぁそんな事を引き合いはさて置き、どうしようかなぁ。

 全く手掛かり無しだとどうしようもないし。

 とりあえず幸子さんを保護したこの商店街をフラフラと歩いてはみてるけど。


「この辺りでずっと探していたので手掛かりがあるならこの辺りだとと思うんですが…」

「漠然としたものでいいから何かキーワード欲しいよねぇ」


 彼女がポツリと呟いた言葉に私も賛同する。

 1週間ほどこの辺りに留まっていたんだから記憶じゃなく本能で留まってたんじゃないかなぁ。