ずっと気づかなかっただけ。

「全然!てか、謝ることない!」
「…結城、俺らのこと今はどうでもいいから。」

3人の優しさにさらに涙が溢れる。

太一が使ってないから、と

タオルを差し出してくれて、

お礼を言って顔を覆う。

「結城さん、俺、できる限りのことやろうか?」

「え…」

「整えるくらいしか出来ないから、今日美容院行った方がいいと思うけど…」

「頼んだ。新聞とかビニールとかいるよね?探す。」

なっちゃんが代わりに返事をして、

ぽんぽんと話が進んで、

私の椅子の下に新聞が引かれて、

切り抜いた大きなビニール袋を被せられる。

「出来るだけこれ以上短くならないようにする。整えても、大丈夫?」

ようやく理解して、

「お願いします、ありがと…」

とお礼を言う。

顔を隠したまま髪の毛を切ってもらってるあいだに、

「で、どいつよ。」

なっちゃんの地を這うような声。

「高木が結城を怖がらすなよ…」

太一が怯えながら言う。

「あの、ね、」

私は話し出す。

今日の出来事。

先輩の名前はわからないことも伝えた。