ずっと気づかなかっただけ。


だけど、挨拶は返ってこない。

目が合うと、

背筋が何故かゾッとして。

軽く会釈して、すれ違う。

2階についたから、

教室まであと少し。

少し足早に教室の方へ向かおうとする。

「えっ、」

突然後ろに倒れそうになる。

なんとか踏ん張って振り向こうとするけど、

誰かに髪を掴まれてるみたい。

ふわりとかおる甘い香り。