ずっと気づかなかっただけ。

「はっ、高木は容赦ないね。真白悪かったな、また帰りな。」

チカくんが笑って、

そう言ってクマさんと歩き出す。

太一も私たちのあとを追って、

「…ごめん」

って声をかけてくれる。

けど、

状況がいまいち掴めないのですが…

「え、夏海ちゃんイケメン!」
「…」

扉から覗き見してたタケくんの一言に、

なっちゃん無反応。

教室に入った途端クラスの女の子に囲まれて、

「水瀬先輩とは幼なじみなんだよね!?」
「いいなぁ、カッコいい!」
「お似合いだね!応援するね!」

とか、

「太一くんもなんて、結城さんやっぱりモテるなぁ、さすがだね!」
「太一くん一途。」
「うちのクラスじゃ1番カッコいいと思うし、どっちが本命!?」

とかとか。

それはたくさん。

聞き取れないほど捲し立てられて。