ずっと気づかなかっただけ。

「痛いよ、チカくん…」

でも昨日のお昼までチカくんと喋れてなかったのを思い出して、

ニヤニヤしてしまう。

いつものチカくんだ!

「…千景先輩、人前でベタベタしないでください。」

チカくんの手が離れたと思ったら、

横から手が伸びてて。

顔を上げると、

横には背の高い太一。

「…今更じゃない?」

チカくんの煽るような声に、

ソワソワする。

な、何、けんか?

「太一?そんなに痛くなかったよ?大丈夫だよ?」

太一の袖を引っ張って、

掴んでいたチカくんの手を離すように促す。

「…中学の時から何も言ってこなかったのになんで今更?」

チカくんの声。

「…やっぱりすんなり千景先輩のものになるのは面白くないんで。」

「…ふーん、で?じゃあ太一のものにしようって?」

な、なんだなんだ。

どういう…!?

クマさんの方を見ると、

面倒くさそうな顔。

えー!何その顔!