ずっと気づかなかっただけ。

「クマさん!無事チカくんとまた過ごせるようになりまして!!色々とほんとにありがとうございました!」

「…ん。」

ぶっきらぼうに返ってきた返事でも、

クマさんが少し安堵してるのが伝わる。

「チカくんたちは部活紹介出なかったんだね!」

「…面倒。」
「俺ら必要ないしね。」

それぞれの回答にらしさを感じる。

「真白、髪、引っかかってる。」

チカくんが私の背後に回って髪の毛を触る。

「えー?どうなってる?」

「髪留めに髪が引っかかってるだけ。」

「朝急いでたから気づかなかった!」

「…俺から逃げるためにね。」

「うっ、すみませんでした…」

墓穴を掘ってしまった…

髪を直してもらって、お礼を言うと、

「…何、千景やっと?」

クマさんが口を開く。

「やっと?」

「…真白は黙ってて。そう、もう我慢の限界で。まぁ、この通りで先に進めそうにはないけど?」

私のほっぺを引っ張る。