ずっと気づかなかっただけ。



体育館に向かうのに、

4人で固まって歩いてると、

一番端を歩いてた私は誰かとぶつかる。

「わっ、すみません!」

咄嗟に謝る…けど、

あれこの香り。

甘ーいバニラの香り。

ぶつかっちゃった人を見ると、

「あ…」

すごい睨まれてて、ペコリと頭を下げるけど、

向こうは走っていってしまった。

「なにあれ。先輩?」

タケくんにしては低い声に少しびっくりする。

「わ、わかんないけど大丈夫だよ!私がぶつかったんだし!」

「結城は危なっかしいから真ん中な。」

太一が肩をひいてくれて、

さらりと真ん中に入れてくれる。

「お、今の男前だったよ、太一!」
「なっ、高木は余計なこと言わないでいい!」
「えー、俺は?ねぇ、夏海ちゃん俺は?」

いつも通りの3人のテンションにホッとする。

あの香り…もしかして…

ま、でも考えすぎかな!!