ずっと気づかなかっただけ。


少したつと、息を乱したチカくんが到着する。

「…ほんと、逃げるの上手くなったな。」

息一つ乱さず、

自分の家に入らずチカくんの家の前に立ってた私にチカくんが苦笑いしながらいう。

「今までは本気で逃げようって思うことなかったから。」

私の発言にチカくんに動揺が見れる。

「真白、嫌になった…か?」

ふるふると首を横にふる。

「…なるわけないじゃん。」

最後まで言い終わらないうちにチカくんに抱きしめられる。

「この前、送らなくてごめん。」

「…仕方ないってわかってるのに、私を他の人に任すんだって思っちゃった。」

「ほんと、悪かった。」

「…うん。」

「それから、さっきのもごめん。」

「…隙見せないで。チカくんは私の彼氏でしょ?」

「ん。わかった。」

「よそ見しないでよ。」

「っ、」

「…聞いてる?」

ゆっくり息を吸って、

それを吐き出すチカくんに返事を求める。