ずっと気づかなかっただけ。


…キス!?

なにも言えず呆然と立ってると、

振り返ったチカくんと目が合う。

「…今のは、不可抗力、だから。」

気まずそうに珍しく視線を泳がせるチカくんにムカッとする。

「よそ見なんてしてるからだよっ!!チカくんのバカっ!」

せっかく待ってくれてたのに、

せっかく気持ちを落ち着かせてたのに、

予想外なことに簡単にペースを乱される。

…っ

なんだか居た堪れなくなって、

走り出す。

「まて、真白っ!」

走ってなんとか隠れながらも家の前まで1人で帰って来て、

自分の家の鍵を開けようとして、

立ち止まる。

…。