ずっと気づかなかっただけ。


帰り道。

いつものようにチカくんは待っててくれてて。

その背中に走って飛び付こうとする。

けど、途中で足を止める。

チカくんが少し動いた隙間から見えたのは

…美波さん。

慌てて、見えないように、物陰に隠れる。

…隠れちゃった。

出て行きにくくなっちゃった。

どうしよう。

そんなことを考えてたら、

美波さんの声がする。

聞いちゃダメ、と思うのに、

聞き耳を立ててしまう自分に嫌悪感。

「千景、この前はごめんね。」

「別に。」

チカくんの態度はいつも通り。

それが少し安心させてくれる。

「千景は、ほんっと、真白ちゃんしか興味ないんだね?」

え、私!?

自分の名前が出ると思ってなくて、

一気に体温が上がる。

バクバクする心臓。