ずっと気づかなかっただけ。


次の日になって、

いつもより1時間早く家を出る。

気まずいし、

もやもやが止まらないから。

玄関の鍵を閉めて、

さぁ出発、というところで、

振り返ったら誰かにぶつかる。

この香り…

「おはよ。」

「…おはよ、う、ございます。」

目の前にはチカくん。

「昨日無事帰れた?ごめんな、一緒に帰れなくて。」

チカくんがいつも通りに歩き出すから戸惑う。

なんで、1時間も前だよ?

それにそんないつも通りに話しかけて。

うん、と頷くだけ頷く。

「…怒ってんの。」

その言葉にモヤっとする。

当たり前じゃん!

だって、チカくんのこと好きなだけじゃなくて、

チカくんと付き合ってた人だよ?

そんな人にあんなにくっつかせて、

私じゃなくてその人を送ってたんだもん!

…あの状況だとそれが当然なのかもしれないけど。

でも、でも、チカくんは私の彼氏だもん。

もやもやするのは、仕方ない、よね?