ずっと気づかなかっただけ。


花火の後の電車は混んでて、

3人で隅の方に固まって乗る。

「なんで、毎回毎回お前らってこうなんの。」

クマさんがため息をつきながら、

珍しくよく話してくれる。

話してくれる、というか、

お説教というか、文句というか。

「…意地悪言わないでください」

項垂れながら、

そのお話を聞く。

「く、クマ先輩っ、わかりますけど、今は置いときましょ?」

太一がすかさず間に入ってくれる。

本当に優しい。

クマさんの深くて長いため息。

そのあとは当たり障りない話をしながら家まで送ってくれたので、

クマさんと太一はとっても優しい人。

家に着いたら、

あまりの申し訳なさと感謝の気持ちで、

家の中にあるお父さんがもらってきた開けてないお菓子の詰め合わせをそれぞれに渡して、

謝罪と感謝を述べてお別れした。