ずっと気づかなかっただけ。


「ちょ、結城っ?いいの?」

太一が慌ててついて来てくれて、

クマさんが慌てたように、

「千景っ」

って少し大きい声を出す。

「っ、真白!1人で帰んな!」

聞こえないふりして、

歩いてると、

「クマっ、真白頼んだぞ」

って聞こえて来て、

無意識に足が止まる。

振り返ると、

チカくんは甘える美波さんに視線を戻してて。

…そう、任されるのは私の方なんだ。

ううん、わかってる。

美波さんの方が心配な状態だし、

心が狭いのは自分の方。

わかってる、けど、

お願いされるのは、私の方なんだ。

「っ、…バカ。」

涙を堪えてクマさんと太一の方をみる。

「…巻き込んでごめんなさい。1人で帰れますから…」

そう言って歩き出そうとすると、

クマさんに手を引かれる。

「…はぁ。送る。」

「俺も!」

「っ、すみませんっ」