ずっと気づかなかっただけ。


チカくんの腕に美波さんが腕を絡ませてて、

チカくんが少し面倒そうに、

その手を解こうとしてる。

「え、美波さんってあんな感じでしたっけ。」

太一の声にクマさんが呆れたようにいう。

「なんか、屋台でノンアルカクテル頼んだらアルコール入り間違えて渡されたみたいで、あぁなった。」

いやいや、問題だよ!!

「え、やばくないっすか?」

「少量だったし、吐いたりとかはなさそうでとりあえず連れて帰ることになったけど。」

チカくんに甘える美波さん。

2人が恋人だった時はこんな感じだったのかな。

チカくんが他の人に任せようとしても、

離れずにチカくんにくっついたまま。

チカくんは離そうとはするけど、

力づくって感じではない。

…。

「帰ります。チカくんに伝えといてください。」

思ったよりも低い声が出た。

けど、気にしないふりして、

駅の改札へ足を向ける。