ずっと気づかなかっただけ。


「…嫉妬した。太一にも、さっきも。あんなのって言ったのは、悪かった。別に軽んじてるとかじゃなくて、」

うん、私も綾さんに教えてもらって、

冷静になったらそれはわかった。

だってチカくんすごく幸せそうな顔してくれた。

私のこと好きだって伝わるキスをしてくれたもん。

私が勝手にムッとしてしまっただけ。

「チカくん、我慢させてごめんね。早く追いつけるようにするね。」

チカくんは驚いた表情をする。

「…綾さんから何聞いたの。」

え、それを私の口から言うの?

チカくんの視線に耐えきれなくて、

両手で顔を隠しながら早口で言う。

「も、もっと、す、進んだキスとかえっちとかあるって、チカくん私のために我慢してて、私のペースで合わせてくれてるからいい男だよって。なのに私が知らずに我儘言うから、チカくん戸惑ってるんだよって。高校2年生の男の子の頭の中はすごいんだからって、綾さんが」

アワアワと早口でいう私に、

チカくんが盛大なため息をつく。