「千景先輩のアホ!もー千景先輩に真白はあげませんっっ、太一と今から迎えに行くんで!真白のこと泣かせるバカは出てくんなーっっ!!」
なっちゃんがとてつもない大声でいうから、
私は慌ててスピーカーを解除するけど、
間に合わなかったのか、
「え、ダメだった?!真白ちゃん?帰っておいで?」
「はぁ?千景、俺の妹泣かせたの?」
窓が開く音がして綾さんとお兄ちゃんが様子を見にくる足音がする。
ここから私の部屋にまで響いて2人が様子見に来たと言うことは…
今出てきた部屋を振り返ると、
クマさんが驚いた顔で立ってこっちを見てて、
固まる。
や、やばい、
すぐに立ち上がって、
穴に半身を滑らせたところで誰かに腰のあたりを掴まれる。
それ以上進めなくて、
気づいたら、誰かに持ち上げられてて。
ううん、誰か、じゃなくて。
「っ、ごめんなさいっ、すぐ戻るからっ!離してっ、」
バタバタと暴れるけど、
「…真白。」
抱きかかえた本人の声に、
動きを止める。

