ずっと気づかなかっただけ。


勇気を出して乗り込んでもダメダメだし。

お勉強しにきた皆さんの雰囲気壊して、

チカくんを余計に怒らせて。

嫌われちゃったかな。

…空回りばっかりで恥ずかしいのと、

不安なのとで、

…消えたい。

チカくんの窓の外まで出たところで、

ケータイがなる。

チカくんちの窓をしめてから、

通話ボタンを押して、

穴を潜ろうとする。

『真白?仲直りできた?』

なっちゃんの声に、

涙が止まらなくなって、

穴を潜る前に座り込んでしまう。

「うまくっいかないっ、嫌われちゃったかも」

小さい声で絞り出した声になっちゃんが、

『…今どこ。』

「…今から自分の部屋に戻るとこ。」

『まだ千景先輩のとこ?』

「ベランダ、だけど、早く戻らなきゃまた怒らせちゃう、」

『スピーカーにして。』

え、なんで?

と思ったけど、なっちゃんが早くって急かすから、

スピーカーにする。