ずっと気づかなかっただけ。

いつから戻って来てたのか、

お兄ちゃんが慌てて私と綾さんの間に入る。

「ちょっと恭介じゃましないでよ。」

「真白、真白はまだ知らなくていいからな?」

「…うざ。邪魔!出てって!」

綾さんがお兄ちゃんを足蹴りして、

部屋から追い出す。

つ、強い…

「まぁゆっくり千景くんに教えて貰えばいいと思うけど、千景くん、恭介と同じで真白ちゃんに過保護だから教える…かなぁ。」

苦笑いする綾さん。

「…教えてくださいっ、チカくんに嫌われたくないから」

「いや、嫌うことはないと思うけど…」

いーのかなぁ、なんて笑いながら、

でも楽しそうに綾さんが私に耳打ちしてくれる。

ボンっと真っ赤になってパンク寸前の私と、

ケラケラ楽しそうに笑う綾さんに、

またお部屋に戻って来たお兄ちゃんが複雑そうに見ている。