ずっと気づかなかっただけ。


「チカくん?いいの?試合は?」

「クマいたら勝てるから大丈夫、次の試合からは行くし。」

どんどん歩いてく背中に繋がれてない手を伸ばす。

伸ばした手が掴んだのはチカくんのジャージの裾で。

チカくんが少し後ろ向きに力が加わって、

止まる。

「真白?」

「チカくん、ごめんね。」

「何が?」

何がって…

「カッコいいチカくんみんなに見せたくないって思って、応援、できなかったから…」

「っ、ほんと、真白はいつからそんな顔してくれるようになったわけ?」

太一にも言われたそのセリフに、

首を傾げる。

「どんな顔?」

「俺のこと好きって顔。」

てんてんてん、と頭の中が停止して、

数秒後に爆発する。

「そ、そんな顔っ、してっない!」

顔を両手で覆いながら慌てて否定する。

「してるって。」

「…むぅ、しょうがないじゃん、」

「しょうがない?」

恥ずかしい、けど、言葉にしないと。

「だって、好き、なんだもん。」