ずっと気づかなかっただけ。


「ん?チカくんに彼女さんがいたって話?知ってたよ!」

美波さん、ということまで、知らなかったけど。

笑って返すと、

なっちゃんは、

「私知らなかった…」

って驚いてる。

ふとチカくんと目があった気がしたけど、

もやもやぐるぐる冷たい嵐の心では、

さっきみたいに笑って手を振れなくて、

気づかなかったフリをする。

「さっ!サッカーの時間だよ!頑張ろう〜」

3人の背中を押して、

体育館の外に促す。

階段を降りて、外に出ようとしたら、

「真白、髪朝と変わってんな?」

チカくんが後ろからポニーテールを触る。

…むぅ、さっきまで、もやもやぐるぐるだったのに、

急にふわっとピンクになる。

なんか、悔しい!