ずっと気づかなかっただけ。

顔を上げると、

美波さんってなっちゃんが紹介してくれた人。

チカくんのクラスメイトで、部活も同じ美人な先輩。

「…あ、真白ちゃんもいた!こんばんは?お疲れ様?」

もう部活終わりであたりは暗いけど、

美波さんと私は今日は初めて顔を見たから、

美波さんが挨拶を悩みながら話しかけてくれる。

「うーん、なんて挨拶したらいいんだろうね!」

なんて笑う姿はすごく綺麗で。

「こ、こんばんは!」

挨拶を返して、チカくんの後ろに隠れる。

「美波はここで何してんの?部活終わってすごい勢いで出たのに。」

チカくんが話しかける。

「あー、今日他校に進んだ中学の同級生とご飯食べよって話してたんだけど…行ったら男の子もたくさんいて、苦手な雰囲気だったから、用事できたことにしちゃって逃げちゃった!」

長くて綺麗なストレートな髪の毛の毛先を、

くるくると指で遊びながら言う。

今いるのは学校の最寄りの駅で。

意外に栄えてるから、

この辺のご飯屋さんだったのかな?

と少しあたりをキョロキョロする。