ずっと気づかなかっただけ。

歩き出した2人の間で揺れる手。

あまりに自然な流れにそのことに触れられなくて、

照れ隠しに質問する。

「チカくんは、何に出るの?」

そう尋ねながら反対の手でカバンを受け取ろうとすると、

カバンを持とうとする手を無視される。

諦めてチカくんが答えてくれる前にお礼を言う。

「クマがバスケにさせられてたからバスケ一緒にやる。」

「なるほどクマさん身長高いもんね!」

チカくんも私からしたら高いけど…

「で、真白もサッカー出るんでしょ?女子だけとは言え…できんの?」

うっ、

大袈裟に胸を押さえる。

「で、できる…と思いたい…。」

「…なんでそれでオッケーするかね。」

「だってタケくんも太一も、なっちゃんまでサッカーで話してたから〜っ!足引っ張らないように教えてもらう…」

チカくんはジト目で私を見る。