ずっと気づかなかっただけ。

チカくんが部活が終わる頃に、

タケくんと他にも来ていたダンス部の人とお別れして、

靴箱で待つ。

「真白。」

チカくんの声に顔を上げると、

少し不機嫌そう。

あれ。

「お、怒ってる?」

「…俺の彼女になったはずの人が、自分を好きって言ってる他の男と花火大会行くって小耳に挟んだから。」

チカくんが聞こえる声ギリギリで早口で言う。

うっ、

「ご、ごめんなさい。」

「まぁ、太一に問い詰めたら、自分が強引に話進めたって吐いたから、…よくないけど、許す。4人、らしいし。」

チカくんが座ってた私のカバンを持って歩き出す。

「あ、自分で持つよ!」

チカくんが持ったカバンに手を伸ばすと、

その手をチカくんの手が包む。

「…たく、そんな条件出されんなら、サッカーにしとけばよかったな。」

チカくんが舌打ち混じりに言う。