ずっと気づかなかっただけ。

「結城は、…クラスよりも千景先輩応援する?」

太一の声に思わず振り返る。

クラスよりも…

「意地悪な質問だなぁ!チカくんの応援もするけど、アイス券ほしいし、クラスの応援頑張るよ!」

ガッツポーズする私に、

太一は少し申し訳なさそうに、

「だよ、な。変なこと言った。頑張ろうな。」

うんっと元気よく返事して頷く。

「…千景先輩元気になってよかったな。」

「うん、風邪でよかったよ〜。これからもっと暑くなるし、太一も体調気をつけようね!」

太一が何かいいたそうにするから、

首を傾げる。

「ん?何?」

「…夏休みにある花火大会一緒に行きたい、もう約束した?やっぱり無理…かな。」

へ。

花火大会?

脈絡のない提案に少し間があく。

「約束は、してないけど…」

そう、

約束はしてないけど。

毎年、その花火大会はチカくんと行ってる。

曖昧な私の答えに、

太一が言う。

「じゃあ、サッカーで3位以内入れたら!2人で行きたいけど、千景先輩の許可降りないだろうし、4人で!」

「え、3位って大変だよ?というか、」

「決まり。」

え。

えええー!

勝手に!

チカくんは、今年どうするんだろう。