ずっと気づかなかっただけ。

…んだけど、

「なっちゃんは、好きな人とか、いないの?」

なっちゃんと恋バナというものをしたことがなくて、

今まで私のお世話ばっかりさせちゃってそういう話はほとんどなかった。

「なに?急に?」

なっちゃんが笑う。

やっぱり、唐突すぎたかな。

「いや、なんとなく気になっちゃって!なっちゃんと恋バナしたことないなって!」

素直に口にすると、

なっちゃんは、

うーん、と顎に手を当てて考える。

「んー、こうやって真白と楽しくしてるし、部活もあるし、今が充実してるから考えたことないなぁ、あ、もちろん、真白たちが充実してないとかじゃなくて、」

「大丈夫だよ!なんとなくなっちゃんの感じがわかったし!」
なっちゃんは優しいから、

付け足してくれたけど、

なっちゃんが言いたいのは本当にそういうことじゃなくて、

本当に自分の恋愛とか考えたことないって感じなんだろうなぁ。

周りからは頼られまくりだし、

太一のことにも気付いてたみたいだし、

自分のことってなるとイメージがわかないというか、

少し前の勘違いの私と状況は違うけど、

恋愛が自分事じゃなくて、他人事って感覚は同じなんだろうなぁ。

だから2人でいても恋バナにならなかったわけだ。

なるほどなるほど。