しばらくの沈黙。
涙を流す先輩の周りにいた私を笑ってた女の先輩たちも少し距離を置き始める。
「や、やりすぎだよ、あんた。謝った方が…」
「さすがに…ね」
この人たちの手のひら返しにも呆れる。
キッと視線を向けると、
静かになる。
「…返してください」
私の声に、
目の前の先輩が急に走り出す。
え!逃げられる!
慌てて追いかけようとしたら、
「逃がさないですよ!」
「真白ちゃんの宝物、返してくださいっ!」
「結城さんの親衛隊参上!」
なんて、クラスのみんなが教室の出口を塞いでて、
涙が溢れる。
心強い。
逃げ出した先輩は、ポケットからあるものを投げて、
『こんなのいらないわ!どけて!』
って力づくで出て行くけど、
廊下で先生に捕まった。
私は慌てて投げられたそれを拾いに行く。
「…よかったぁ」
それは、取られた髪飾りで。
投げられたけど壊れては無さそう。
よかった。
よかったぁ。

