ずっと気づかなかっただけ。


「た、タケくん、平気だから。…チカくんが髪切ったのびっくりしないように報告にきただけで…」

『そうやってぶりっ子していい子ちゃんぶって何人もたぶらかしてんの?』

っ、

その先輩の周りにいた女子も悪意を持って私を笑う。

「うるせぇ。」

チカくんが睨む。

私を笑ってた先輩たちが黙る。

「ち、チカくん、ごめんね、帰るから!大丈夫!ほ、ほら帰るよ太一もそんな顔しないで、『そんないい子ちゃんのあなたのことが好きな横の彼に新しい髪飾りでも買って貰えば?』」

…何言ってるの?

立ち止まった私が無意識に髪を触る。

「アイツ、しめる!」

太一が掴みかかりに行くのを慌てて止める。

「太一っ!やめて!」

「止めなくていいわよ、手伝うわ。」

「なっちゃん!?ごめん、タケくん、なっちゃん止めて!怪我してほしくないの!」

いらいらした様子を見せてたタケくんが、

ハッとして、

なっちゃんを抱き止める。

私も太一になんとかしがみつく。