ずっと気づかなかっただけ。

「っ、は、ハプニングが起きてね、髪の毛ざっくりいっちゃって、タケくんが整えてくれて、それから、クラスの子がっ」

嘘は言ってない…よね?

「…真白、俺の目みて。」

うっ。

でもここで晒したらまたあの顔をさせちゃう。

クッと目に力を込めて、

チカくんの目を見つめ返す。

「ふわふわに、してもらったの」

「うん」

「巻いてもらってね」

「うん」

「メイクも、してもらったんだけど、どうかな」

視線を逸らしたくなるけど、我慢する。

「ん、いいんじゃない?」

「えへへ、よかった!」

「…今日朝つけてた髪飾りは?採用されなかった?」

「かっみかざりは…」

言葉が詰まる。

無くしちゃったって謝らないと。

『そんなことわざわざいいに来たの?いい加減幼なじみのお兄ちゃんから卒業した方がいいんじゃない?』

教室が静まり返る。

視線を移すと、

あ…あの先輩、チカくんと同じクラス…だったのか。

「あ?この前結城さんにぶつかってきたやつじゃん。」

タケくんの口調がまた強くなる。