買う食材を確認しながら、信号待ちをしていた時…

遠くから悲鳴が聞こえた。
そしてそちらを見ると、ものすごいスピードを出した車が迫っていた。

私は身体が石になっかの様に動かず、そのまま車は私に衝突した…

『ドンッ』 『キキーッ』

当たって痛いはずなのに、なんだか体はフワフワとした感覚。

一瞬のはずなのに、私の目にはいろんなものがスローに見えた。

歩み寄る人たち、投げ捨てられた私のスマホ。

冷たいコンクリートに、

じんわりと熱い自分の血が静かに流れる…

貧血みたいに、身体に必要なものが抜けていく感覚。

私は大変な目にあった。
そしてもうすぐ死んでしまうのだと、分かった。

もう、会えなくなってしまうのだと、お母さん。お父さん。友達。親友。クラスメイトのみんな。

そして。

ライ…

ごめんね、みんな、大好き。

私はすごい幸せものだった。

お母さん、お父さん。
いつもありがとう。迷惑をかけても一緒に居てくれて。私は、二人の子供で良かった。

深雪(みゆ)、美香(みか)
私の友達で親友で居てくれてありがとう。
私のことを考えて理解して居てくれたね。
二人とも大好き。

ライ…
ケーキ作ってあげられなくて、ごめんね…
パーティ出来なくてなっちゃった…
でもね、私大好きだよ。ライと出会えて良かった。

だんだんと意識が朦朧としてくる…

「みんな…大好き…だから…」

もっと一緒に居たかった…

言葉にならないまま、私は救急車の音に包まれて静かに眠る…