毎日、毎日時が進むのが怖かった…

その姿を見て俊介は何を思ったのか、

「旅行に行こう…!」

そう言った。

行き先は…

ある温泉街だった。

そして予約を取った場所は
家族で未来の誕生に毎年行っていた場所だった。

私は、怖くなった。

なんで?そこに行ったら私…この子を産む事が怖くなる…

でも、それをそんなことを言うのは情けなくて言葉にならなかった。

薄い影をつけながら、向かった温泉は
前と同じように温かく優しい空間だった。

温かいお風呂…温かい宿…

家に閉じこもり、ただ恐怖に苦痛に耐えていたあの時とは比べ物にならない程幸せだった。