27時に寝ること



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ほたるくんのことが、1秒ごとに好きになり続ける。そんな感覚だった。

一緒にいるときはずっとくっついていたくて、たくさんキスもして、ほたるくんが触れるあたしの肌すら好きになった。


ほたるくんは、音楽関係の仕事をしていた。
バンドのサポートメンバーでもあり、音楽に囲まれて生活している人だった。
だから、ライブハウスによく行くんだと思った。
細身で、パーマのかかったふわふわの髪の毛。古着をよく着ていて、黙っていれば東京に生息しているバンドマンそのものだ。


あたしは地元にいる時から男運はあまり良くないし、バンドをしている男をかっこいいと思う節があったので、地元の友達に“変なバンドマンに捕まっちゃダメだよ“と散々言われていた。
だから、その子達がほたるくんをみたら、きっと頭を抱えそうだ。


でも、ほたるくんはちゃんと愛情表現をしてくれていたし、付き合って半年くらい経つと、自分の仕事が波に乗れば結婚したいと話してくれた。
それがどれだけ嬉しかったことか。
そんないつのことになるかわからない未来の話に期待して、死ぬまでそばにいたいと青いことを毎日考えた。

ほたるくんの収入は少なくて、きっと贅沢な暮らしもできないから、子供もできれば欲しいくらいに思ったし、結婚してずっと2人で楽しくやっていければよかったと思った。