でも、わたしたちが入部したときにはもう、結城先輩には美香先輩がいた。
 ふたりしてキャプテンになってからは、ときどきだれも近寄れないような親し気な雰囲気を見せることもある。
 ばかだよねぇ。
 そんなひとをずーっと……。


「じゃ、そういうことで。女子は以上のメンバーでブロック予選、団体戦に挑みます。――で、男子。男子は今年は団体戦の出場はなしってことだな、結城」
 ああ。やっぱり。
 2年女子の目が小松に集中。
 小松は先生がずっと体育館にいるってわかったときから震えていた。
 1年生を勧誘できなかったのは小松のせいじゃないのに。
「先生。それはないよ」立ち上がったのは真澄先輩だ。
「武田の足も6月には治るって言うんだし。飯田が退部するって言いだしたのはマジ突然じゃん。そんなの、いきなり対応できねぇよ」
 そうよね、そうよね。
 うんうんうなずいていたら、うしろの1年生がわたしのウエアのすそをつんつん引っ張った。
八木(やぎ)先輩、あの――、どういうことですか?」
「うん、あのね――…」
 頭脳派の桃子が、ひそひそと講義を開始。
 ――そう…なんだよね。

 6月からの大会なのに、こんな4月の新学期が始まったばかりのときに選手登録しなきゃ、試合に出られないんだよね。
 選手の変更も認められないし。
 だいたいがもう個人戦の登録は締め切られてる。
 だから選手登録の制限以上に部員がいる学校はいいけど。ギリギリの学校はだれひとりケガもできないっていうのに、新部員の獲得すら時限性。
 4月の登録に間に合わなかったら夏まで公式戦に出られないって、だれが悪いの?
 むにゅむにゅ協会だ。
 罰が当たるとこわいから、心のなかでも伏字にするけど。