ささやきはピーカンにこだまして

 これ以上きみの温かさのなかにいたら、わたしは溶けちゃう。
(じゅん)! 先輩の言うことがきけないの?」
「…………」
 まるで、その言葉が解放の呪文だったように、準の腕はするっとわたしから離れていった。
「あやまらないよ……」
 さりさりとコンクリートの上を歩く音。
 わたしは、きゅうに寒けを感じてうずくまる。
 この寒さは……準の、せい?
 準の身体、温かかった。
 わたしの手は、こんなに…、こんなに冷たいのに。


 準は、4人の食卓で、きっちり《後輩》してた。
 となりに座っている二紀(にき)の頭は寝ぐせであちこちからまっているのに、準の髪はいつのまにか整えられて、見慣れたいつものヘアスタイル。
 学校で見る――部活で見る――生真面目な後輩。
 礼儀正しく、先輩たちの目をまっすぐ見て話す、準。
 ただし。
 その目は、わたしを見ない。
 今も……。