アーサーから手渡された手紙には、校舎の三階の一番奥の教室に来るようにと書かれていた。蘭は暗くて不気味な雰囲気の廊下にも臆することなく歩いていく。

廃校というだけあって、教室も廊下も荒れ放題だ。まだ生徒が通っていた頃はとても綺麗にされていたのだろう。凝った装飾が施された建物のようだったので、余計に残念に見える。

蘭は試しに廊下にある電気のスイッチに触れてみる。スイッチを押しても当然電気はつくことがなかった。

階段を登り、廊下の奥に見えた教室のドアに蘭はゆっくりと手をかける。もしかしたら、このドアの向こうで銃を構えてアーサーたちが待ち構えているのかもしれない。

蘭は隠し持っている折りたたみ式のナイフを取り出し、片手に持つ。その目は戦場に立つ兵士のようにギラついていた。そしてそのまま勢いよくドアを開ける。

「うわぁ!?」

「だ、誰!?」

教室から響いた声に蘭はピタリと動くのをやめる。教室の中にアーサーたちの姿はなかった。何故か、中学生くらいの子どもが六人いる。