「ずっと、お逢いしたかった……」

蘭の目から涙がこぼれ落ちる。蘭は星夜の手にそっと顔を寄せ、肩を震わせた。

「星夜さんはずっと人身売買目的で監禁されていたようです。そこで何度も他の監禁されていた人と逃げ出そうとして、そのたびに暴力を振るわれ、最終的には麻酔薬を投与して強制的に眠らされていたようです」

警察官が星夜のことを話し、蘭は「星夜さんを助けていただき、ありがとうございました」と頭を下げる。その様子を圭介がどこか苦しげな顔で見つめていた。

「星夜さんに犯人たちが投与し続けていた麻酔薬は非常に強力なもので、いつ目を覚ますかはわかりません。ですが、死ぬ危険性はありませんのでご安心ください」

警察官はそう言った後、病室を出て行った。蘭はそっと星夜の頰に触れ、懐かしい感触に涙を目に溜めて微笑む。

「この人が星夜さん?なかなかのイケメンですね」

「イケメン、というものはわかりませんが、私にとって星夜さんは特別な存在なのです」