長い戦いがようやく終わり、蘭は圭介に傷の手当てをされた。その時に互いにお礼を言い合い、あとは警察に任せて二人はすぐに眠ってしまった。

それから警察に呼び出され、戦いの次の日の夜、蘭と圭介は病院へと足を運んだ。ベッドの上に眠る人物を見て、蘭はエメラルドのブローチを握り締める。

「星夜さん……！」

ベッドの上で眠っているのは、蘭がずっと逢いたいと願っていた星夜だった。その手足には痛々しい傷がたくさんできている。殴られてできたものもあれば、鋭利な刃物で斬られたもの、さらには銃弾が掠めたような痕もあった。

「何てことを……」

監察医として多くの遺体を見てきた蘭には、どのようにしてできた傷なのかしっかりとわかる。

「神楽さん……」

圭介がそっと蘭の手を取り、星夜の手の上に乗せる。蘭は震える手で星夜の手を握った。痛々しい腕や足だけを見ると、死んでいるかのように見える。しかし、手や体にきちんと温もりがあり、それが星夜が生きているのだと教えてくれていた。