蘭がドアを開けた刹那、目の前に巨大な包丁を持った男が包丁を振り下ろしてきた。子どもたちが悲鳴をあげる中、蘭は包丁を軽々と避け、男に蹴りを喰らわせる。

急所を思い切り蹴り上げられた男は、あっけなく床に倒れ込んだ。蘭は武器を奪い、男をたまたま落ちていた紐で拘束しておく。そして、震えている六人の方を向いた。

「どうか、私から離れないでください。もう誰も死なせたくないのです」

蘭はそう言った後、エメラルドのブローチに触れる。星夜の居場所を聞き出せるまでは、この六人を逃すまでは、何があっても死ぬわけにはいかない。

「法医学の、希望に」

まるで呪文のように蘭は呟いてみる。すると、先ほどよりも冷静さが戻ってきたような気がした。まるで、解剖前の集中しているあの瞬間のようだ。

「脱出しましょう、ここから」

蘭はそう言い、六人を連れて教室を出る。そして一階へと続く階段へと向かった。