院長の娘みくるを病室から連れ出し、VIPフロアを堂々と手を繋いで歩く。

想像していた通り、周りからは視線が集まる。

その後の事はその時考えればいい。

それよりも、みくるの喜ぶ顔が見たかった。


『聖人さん……私、やっぱりおかしぃですか?』

みくるは徐々に下を向き、聖人の後ろに隠れ気味になっていった。

『ん?どうして?』

『みんな、私の事見て不思議な顔してます…』

『それはミルクがおかしいからじゃないよ。
俺がおかしいと思われてるんだろうな。はは!』

『え?聖人さんはおかしくないです!
ずーっと素敵ですよ!』

『じゃあ下向く必要ないな』


みくるの表情が和らぎ、聖人も安心して
またゆっくり歩きだした時、
驚きを隠す余裕もない同期が2人に迫ってきた。


『おぃ!!聖人!!??な、何やって……』

『おぅ!デート中だから邪魔するなよ~』

『えっ!?えぇぇえーー!!!!!』


みくるは、もの凄い顔で驚く同期を不思議そうに
見ながら聖人に手を引かれ通り過ぎて行った。