あなたは私の救世主!~俺様ドクターの命じるままに

***
麻痺のある足を軽く引きずりながら黙々と荷物を運ぶみくるを、聖人は横目で追いながら見守る。

前ならば『よこせ!』と簡単に荷物を奪い運んであげられたのに、それすら出来ない。
みくるの気持ちに触れるのが、怖かったから…


***
久しぶりに会えたのに声もかけてくれない
聖人に、みくるは少し悲しくなる。

前ならば『持ってください!』と簡単に重い荷物を運んでもらおうと甘えられたのに、それすら
出来ない。
聖人の気持ちに触れるのが、怖かったから…


準備が終わり健診が始まるまでの時間。
部屋の中はシーンとしていた。

(なんでもいいから思ったことを伝えてごらん)と
平井先生が教えてくれた言葉を思い出すみくる。

(大事に掴まえておいた方がいいぞぉ~!)と
同期に言われた言葉を思い出す聖人。


『みくる!』
『聖人くん!』

静かな部屋に、2人の声が重なった。