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《……騒がしいなあ。これじゃ、ゆっくり眠れやしない》
精霊は不満を漏らしたが、彼らはまだふざけ合っている。もう、マロとしての声は届かないのだ。
《もうちょっと、落ち着いた雰囲気が好きなんだけど》
皆には、どう聞こえている?
そよそよと吹く、風の音?
それとも、さらさらという葉っぱの揺れる音だろうか。
ふと、ジェイダが顔を上げる。
あの小さかった少女は、強くなった。
色々あった今、そうして微笑む彼女は少しだけ大人びていて美しい。
「ジェイダ? どうかした? 」
「うん……今ね、マロがいたみたいな気がして」
「……いるんじゃない。多分、その辺にさ」
そう言う二人の視線は、どちらも的外れだけれど。
《ボクもキミたちの幸せを願ってるよ。実はもう、ほとんど消えかけてるけど。……この先のことは、安心してキミたちに任せられるから》
ずっとずっと、幸せに笑っていられますように。
もう二度と、誰にも奪われずに済みますように。
もしも困難に見舞われても、立ち向かうだけの勇気と優しさに満ち溢れていられますように――。
《……ずっと願ってる》
――この美しい、翡翠の森で。
【翡翠の森・完】



