翡翠の森




「一人で来たの?」


熱い口づけを交わしかけたが、見物人がいたことを思い出し。二人は移動することにした。その先はもちろん、あの森。


「そのつもりだったんだけどね。二名ほどいるだろ。僕らを邪魔したい人が」


それは、もしかしなくても。


「ジンとデレクさん? 」

「そう。仕方なく、お邪魔虫を連れて移り住むことにしたんだ」


さらりと言われたことが飲み込めず、呆気にとられているとロイが笑った。


「この森を挟んで両隣の町に、関所が置かれることになったんだ。これからは、商人たちも互いに行き来できるし……普通にただ遊びに行くこともできる。僕はトスティータ側の責任者として、赴任してきた訳だけど」

「……う、うん」


胸がトクトクと早鐘を打つ。
嬉しくて嬉しくて、飛び上がりたいくらい。
ジェイダは必死で我慢して、続きを待った。


「すぐそこに、家を建てたから。一緒に暮らそう。……いいね」


別れる前に言われたように、有無を言わせぬ言い方だ。だが、どちらにしても同じこと。
だってその答えには、頷くしか知らないから。


「……あーあ」


それを見て、ロイがドサッと地面に背中をつけた。


「やっと、僕のものになってくれた」


ぐっと後頭部を引き寄せられ、目を瞑る。
食べ尽くされそうな口づけに、ずるずるとジェイダの体も落ちていくのだった。